INFORMATION医療通訳情報

外国人患者をサポートする医療通訳者になるには?
業務内容などを解説

日本政府観光局(JNTO)の推計によると、2019年1月時点の訪日外国人観光客数は前年同月比7.5%増の268万9千人を記録し、訪日外国人に向けたサービスの市場はますます活況を呈しています。そのような中、外国人の受入環境整備を進める分野のひとつとして病院やクリニックなどの医療機関を挙げることができます。医療の分野では専門的な知識・スキルを身に付けた医療通訳者の活躍があります。医療従事者と外国人患者の架け橋として需要が高まる「医療通訳」という仕事について、業務内容やなるために必要なものをご紹介します。

医療通訳者とは?

医療通訳とは、外国人が母国語で日本の医療サービスを受けられるように言語面をサポートする仕事です。病院や薬局といった医療現場では、医師や看護師、薬剤師などから問診、診察、診断結果、処置、服薬方法などについて説明がありますが、日本語が話せない外国人にとって意思疎通が難しいという課題がありました。このような医療従事者とのコミュニケーションを、通訳により円滑にするのが医療通訳者です。

通訳の仕事は「話し手の意図を正確に伝えること」が前提ですが、医療通訳においては、外国人患者の文化的・社会的な背景を踏まえた上で通訳するスキルが求められます。それば、文化や価値観、社会的な背景の違いから、処置の内容や入院中の生活が変わることがあるためです。コミュニケーションの最中で思わぬ誤解を与えることがないよう、また誤った理解で会話が進むことがないよう、相手への「理解」や「気遣い」、「思いやり」を持って通訳を行うのが、医療通訳者と言えるでしょう。

医療通訳者に必要なものは?

医療通訳者になるには、どんな資格が必要なのでしょうか? 現状では国家資格はなく、民間企業や団体が独自の講習や試験、資格発行、認定を行っています。資格がなくても医療通訳者として仕事を始めることはできますが、人命を預かるという非常に緊迫したシーンが連続する医療現場では語学力・通訳技術・コミュニケーション能力が高いレベルで要求されます。そのため、専門的な学習や実務経験を積まず、医療通訳者として本来の役割を果たすのは難しいでしょう。

現在、医療通訳者になる方法として一般的なのは、自分が専門とする外国語で一般的な通訳経験を積んでから、医療通訳の養成スクールで短期に集中して学び、資格や認定を取得したうえで実務経験を積む方法です。
中には一般的な通訳経験を経てから医療機関に就職し、通訳とは異なる仕事をしながら独学で勉強をする方もいます。
いずれも一般の通訳経験、社会人経験は一定年数求められるでしょう。

医療通訳者になるには?

実績がないのに、いきなり現場に飛び込んでも右往左往して思うように仕事ができないのはどの業界でも同じです。
そのため、医療通訳の養成スクールなどで学んだ後は、医療通訳者の派遣を行う民間企業や団体に所属するのが一般的です。
今では医療通訳を電話やTV電話で行うサービスも増えてきています。
電話医療通訳の仕事はコールセンターから提供されていることが殆どですので、医療通訳を行うコールセンターに所属するのも医療通訳者として活躍する方法のひとつです。
仕事柄、語学力は常に磨いておきましょう。

医療通訳者の業務内容って?

派遣型の医療通訳者は、所属する民間企業や団体から依頼を受けるところからスタートします。所属する民間企業や団体から、病院の場所や時間、患者の言語や病状といった情報をもらい、自分が対応できるようであれば引き受け、指定の日時に病院へ向かいます。前もった依頼ばかりでなく、当日に派遣を打診される緊急時のケースもあります。

通常の診療なら2時間程度で業務が終わりますが、緊急手術などで時間がかかる場合は手術中も待機しなくてはならず、業務時間が8時間を超える場合もあります。また、国によって医療制度が異なるため、外国人観光客の診察では保険の加入状況の確認や日本の医療制度、医療費を伝えることも重要であり、的確な通訳を行うことがトラブル防止につながります。

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