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医療通訳者に必要なスキルって?語学力だけじゃない!

医療通訳者は、一般の通訳者とは異なり単に語学力があれば務まるものではありません。一般的な医療用語の知識はもちろんのこと、外国人患者と医療従事者間の意思疎通が正しく実現できるよう、文化の違いも含めた上で、両者の間の橋渡しを行うことが必要です。医療通訳者になるために必要なスキルについてご紹介します。

医療通訳者になるために必要なこと

医療通訳者は単に医療の現場で言語的な通訳を行うだけではありません。医療通訳の役割は、知識や理解に差がある患者と専門家という関係に加え、さらに社会・文化の背景も異なる外国人患者と医療従事者のコミュニケーションを支えることです。

そのため、医療通訳者になるためには、最低でも次の3つを習得・理解しておく必要があります。

・医療、薬に関する専門用語及び日本の医療制度の知識
・国の文化や習慣の違いに対する理解(多文化コミュニケーション能力)
・体調などの自己管理方法

それぞれについて詳しくご説明します。

医療、薬に関する専門用語及び日本の医療制度に関する知識

医療通訳を正しく行うにあたっては、医療従事者が伝える治療上の情報や外国人患者が伝えたい症状などを正しく伝えるためには、専門用語の知識が必要です。身体の各器官の名称や機能と主な疾患、一般的な病名、検査や薬についての基礎的な知識を身に着け、通訳できるようにしておかなければなりません。
また、医療制度は国によって異なります。医療従事者は日本の医療制度に基づいて話をされますし、中には外国人が利用できる制度もあります。そのため、医療制度を広く、正確に理解しておくことが必要です。
医療通訳は、一方が一文から数文のある程度の長さの発言を行ったところでまとめて通訳を行う逐次通訳が基本です。同時通訳よりも正確さに重きを置いた通訳スキルを磨いておく必要があるでしょう。自己解釈や補完、感情移入は行ってはいけません。

国の文化や習慣などに対する理解

外国人患者は、言語だけでなく、文化や習慣など異なる背景を持ちます。場合によっては、単に通訳するだけでは医療従事者に意図がうまく伝わらないことや、文化に対する誤解や偏見によって意思疎通が妨げられる例も少なくありません。

そのため、医療通訳者は、言語だけでなく、外国人患者の母国の文化や習慣、価値観の違いについても深く理解した上で通訳を行うことが求められます。医療従事者と外国人患者の間で文化の違いによる問題が生じている場合には、文化の仲介者として双方が理解できるよう説明することも医療通訳者の重要な役割です。

病気や怪我で不安が多い心理状態の外国人の意思疎通を担うため、円滑に通訳を行うためには、高度な多文化コミュニケーション能力が求められます。

自身の体調管理

医療通訳者の働く現場は医療機関です。医療機関にはさまざまな患者が訪れていますので、感染症にかかるリスクがありますし、自身が感染源となる可能性もあります。医療チームの一員として、体調管理は細心の注意を払わなければなりません。

そして、忘れてはいけないのは心の健康管理です。医療通訳の現場では、ときには深刻な状況下で通訳を行わなければならないため、ストレスを感じることも多くなります。しかし、医療通訳者が緊張や不安を抱えた状態でいると、先入観による意味の取り違えを引き起こし、正しい通訳が行えなくなるという問題が生じる場合があります。日常生活で、上手にストレスコントロールを行い、メンタルヘルスを維持していくことが必要です。

まとめ

医療通訳者は、単なる通訳ではなく、外国人患者と医療従事者との間の文化的・社会的な架け橋となる存在です。語学力だけでなく、医療制度や異文化理解、コミュニケーション能力など、幅広いスキルが求められます。
医療通訳者として活躍するには、これらの知識を体系的に学びながら、多くの経験を積むことが必要です。專門のスクールを受講するなら、厚生労働省の医療通訳育成カリキュラムに沿ったものを選ぶと良いのではないでしょうか。

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